このページは関西流ヴォーカルパーカッションの講座(上級編)が公開されています。
初級編でどういう音の出し方をしているのか、またはこういった感じだというのが
分かっていただけたと思います。ここからは、初級編を踏まえてもう少し突っ込んだ
解説をしたいと思います。
なお、この講座から、少しでも参考になるようにボイパの例として録音した音楽ファイルが置いてあります。
ファイルをクリックするとダウンロードが開始され、お手持ちのプレイヤーなどで聞く事ができます。
また、この無声音のボイパ講座は、主に初心者を対象にできるだけ簡単に音が出せるように説明してあります。
本物のドラム音に近づけたいという人もいると思いますが、やはり練習が大事です。
少しでも参考になれたら嬉しいです。
1. ボイパとは?
ボイパとは声(口)を使って打楽器のような音色で演奏するスタイルです。
もっと簡単に言うと「ドラム・パーカッションの音を唇や声を使ってマネをする」ことです。
日本語では、ヴォイスパーカッションと呼ばれる事が多いのですが正確には、ヴォーカルパーカッションが
正しい呼び方です。その他、マウスドラム、ヒューマンビートボックスなどいろんな呼び方があります。
さて、関西流・関東流にも言えることなのですが、ドラムを含め全ての打楽器は、叩いた瞬間の衝突音と楽器本体や部屋に響く音(共鳴音)から成り立っています。音が鳴る瞬間にその音色の全ての要素が鳴り、その後に鳴る音は、その余韻でしかないのです。つまりボイパとは”衝突音”と”共鳴音(余韻)”、この二つの音を声(口)で表現していると言えます。
関東流はこの”衝突音”を声で、”共鳴音(余韻)”を口の中や声などで表現しています。それに対し関西流は、”衝突音”を息(空気)で、”共鳴音(余韻)”を唇の振動や息の抜きなどで表現しています。このことを関東流では「有声音」、関西流では「無声音」と呼んでいます。
楽器と音符の紹介
実際のドラムと音符の紹介をします。楽譜を見るときやドラム音(ボイパ)を聞いているとき、これを頭の隅に置いてイメージしながら聞いたりすると「あ!ここでこれをしてるんだ」というのが分かってくると思います。
参考までにどうぞ!
2. スタンバイ
これは音ではありません。ですが、ボイパに限らず全てのパート(リード・ベース・コーラス他)の音を
出す基本になるので解説します。
突然ですが、ちょっと咳をしてみてください。できるだけわざとらしく。これを文字にすると「…ゲホッ」となりますね。「おおっ!これがスタンバイか!」というと違います。大事なのは直前の「…」の部分です。わかりますか?この喉に空気がたまって、出そうなのを押さえているような感覚が。 この、音を出す直前の空気のタメ、これを「喉スタンバイ」と呼ぶことにします。
次は、できるだけわざとらしく「ぶーっ」と言ってみて下さい。これを文字にすると「…ぶーっ」となります。ここで大事なのが「ぶーっ」と言う直前の「…」、このタメです。口の中で空気がたまって唇から息が出そうな感覚を感じると思います。これが、今回紹介するボイパ講座の基本、「口スタンバイ」の方法です。
これらは、ほぼ全ての音色にスタンバイの状態は不可欠です。これが出来ていないと、強い音が出ないし、瞬間的にできないと、リズムが不安定になるのでしっかり練習してください!!
スタンバイに入る前に
歌うときやボイパをする直前にスタンバイするわけですが、問題なのはさらに前、息を吸う方法(呼吸法)です。多くの空気を吸えなければ連続的なボイパができなかったりパワーがなかったりリズムが不安定になったり
します。失敗するとデメリットが多いのですが、より確実に失敗を少なくするためにここで紹介します。
呼吸法には二つ挙げられます。「胸式呼吸」と「腹式呼吸」です。
ここで、これらについて説明したいと思います。
胸式呼吸
見た目は呼吸すると肩や胸が上下に動く。走ったり運動した直後とか、肩でハアハア息をしているときが胸式呼吸です。胸式呼吸は吸う力は強いのですが、吐く息を意識的にコントロールすることができません。
腹式呼吸
見た目は上体はリラックスしてて、みぞおちから下腹のあたりがしぼんだりふくらんだりしているのが腹式呼吸です。ちょうど寝ているときがそうです。腹式呼吸は、息を吸うときは横隔膜を下げ、息を吐くときは腹筋を使って横隔膜を押し上げる。「吸う」「吐く」のどちらも意識的にコントロールできます。つまり、使える息の量が多いのです。
ボイパを練習する上で、腹式呼吸は大事です。使える息の量が多いので、安定したリズムが出せますし、パワー感のある音が出せたりメリットが多いのです。ですから、ボイパを練習する上でも腹式呼吸が一番最適と言えます。さて、これらを理解した上で、今度は実際に音を出してみましょう!
3. バスドラム
バスドラムとは、ドラムセットの中で一番でかくて低い音の出る楽器です。
バスドラ、ベードラ、キックなどとも言います。これを口で出すのですが、何種類か紹介します。
バスドラムの基本
まず、喉スタンバイの状態から「ドゥーッ」とできるだけ長く発声して下さい。このとき、最初の「ド」のときに口の中で舌が上あごについて、「ゥーッ」で下あごにつくのが分かると思います。この感じを覚えておいてください。そして、関西流ボイパをするにあたって重要なのが口の形です。まず、あ、い、う、え、お、と発音してみて下さい。それぞれ口の形が違いますよね?ここがポイントです。この講座でのバスドラムの口の形は「う」の形です。これらがこの講座のバスドラムの基本になります。
バスドラム・1
前項で説明した「ドゥーッ」というのを、今度は短く切って、「ドゥッ」と発声しながら息を瞬間的に出します。それと同時に唇も閉めます。この時できるだけ低い音を、短く、喉の奥のほうで出す感じをつかんでください。音が高いと声っぽく聞こえてカッコ悪いから
です。うまくいくとこんな感じになります。
[ バスドラム・1.mp3 ▼ ]
バスドラム・2
今度は前項で説明した「ドゥーッ」というのを「ドゥン」という感じで音を出します。最初の「ドゥ」はバスドラム・1と同じ要領で出します。そして、最後の「ゥン」は喉の奥から発声し、口の中で反響させる感じで音を出すのと同時に残りの息を鼻から抜きます。すると、最初の「ドゥ」のあと口の中で音が響くのが分かると思います。これがバスドラム・2のやりかたです。うまくいくとこんな感じになります。
[ バスドラム・2.mp3 ▼ ]
バスドラム・3
ここからが重要です!!まず、スタンバイですが、口の中で舌を下あごにつけた状態で口スタンバイして下さい。このとき唇はぴっちり閉じて、少し開いたり閉じたりできるぐらいにしてください。これで準備完了です。この状態から、「ドゥーッ」というのを「ブゥーッ」と喉の奥から一番低い声で発声してみて下さい。最初の「ブ」で唇が細かく振動し「ゥーッ」が口の中で反響して音が出ているのが分かると思います。この感じを忘れないようにして下さい。今度はこれを「ブゥッ」というふうに短く切ります。唇は閉じたままで、舌は下あごにつけた状態からです。喉の奥から一番低い声で「ブゥッ」と発声するのと同時に瞬間的に息を唇から押し出しすぐに唇を閉じます。この方法はマイクを通すと驚くほどパワーが出るやり方で、すぐに口スタンバイに持っていけるので連続して音を出す事ができます。また、喉の奥から発声する音を微妙に変えると音階を変えることもできます。バスドラム・3の例です。
[ バスドラム・3.mp3 ▼ ]
バスドラム・4
今度は「ブゥーッ」というのを「ブゥン」に変えます。まず、口スタンバイからバスドラム・3の要領で音を出します。この後、唇を閉じたままで、口の中で余韻を残す(反響させる)感じで喉の奥から「ウンッ」と発声して下さい。このとき残りの息を鼻から出しましょう。最初の「ブ」で唇が細かく振動し最後の「ゥン」が口の中で反響する感じになったらほぼ成功です。これがバスドラム・4の方法です。バスドラム・4の例です。
[ バスドラム・4.mp3 ▼ ]
他にも色々なやり方が存在します。これを参考にして下さい。では、次へ進みましょう!!
4. スネアドラム
スネアは、ドラムセットに座った時にむかって左側にあるドラムです。ドラムが入っている曲を聞いてみると主に2拍目と4拍目に入っている事が多いです。スネアの出し方はこれもバスドラム同様、千差万別でいろいろあります。ここではそのスネアの出し方の代表的なものをふたつ紹介したいと思います。
スネア・1
喉スタンバイをしたあと、バスドラム・1の「ドゥッ」(低音)を「トゥ」や「ドゥ」に変えるやり方です。このとき、バスドラム・1は一番低い声でしたが今度はバスドラムの音より若干高めに発音してください。このあと同時に歯と歯の隙間から息を出してみて下さい。イメージとしては「シューッ」や「スーッ」と言う感じです。
ただ、このやり方は比較的簡単に音が出せますが声を使うので、女性や声の高い人には向きません。
スネア・2
まず、口の形ですがあ、い、う、え、お、の中で「い」と「う」の中間ぐらいがちょうどいいと思います。イメージ的には口の端の方に力をいれて、真ん中の唇の先だけ開いたり閉じたりできるような感じです。唇を閉じたままで前述の口の形のまま口スタンバイして下さい。そして、真ん中の唇の先だけで、強く息を瞬間的に出し、それと同時に「ヴェッ」または「プェッ」、「ベッ」という感じで声を出さずに言ってみて下さい。この後すぐに唇を閉じ、口スタンバイに持っていきます。こうすることによって、連続で音を出す事もできます。また、音を出した後の息の長さや息の歯への当たり方(「シ」や「スゥ」などを入れるか入れないか)によって様々なバリエーションがつくれます。 関西流ボイパということでこちらのやり方を私は使っています。コツは声を出さずに、唇の端に力をいれて、瞬間的に唇の先で強く音を出す事です。マイクを通してみると効果が分かると思います。
スネアのやり方の例です。
[ スネアドラム.mp3 ▼ ]
とにかくスネアは練習あるのみです。何度も音を出すといい音が出てくるはずです。
その感じを忘れないようにして下さい。では、次に進みましょう!!
5. ハイハット・シンバル
ハイハットは、スネアの隣にある2枚重ねのシンバルです。主に細かくリズムを刻むのに使います。
ここでは、2つ紹介します。
クローズ・ハイハット
本物のハイハット・シンバルはペダルがついていて、踏むと2枚の金属板が閉じるようになっています。この状態を ”クローズ・ハイハット” といいます。響きがミュートされ、細かいビートがはっきり現れるので、8・16ビートの一単位に一つ打たれることが多いようです。
「モーツァルト」と言うときの「ツァ」の音が基本的なクローズ・ハイハットの音です。母音(ァ)の音が鳴らないように無声音で鳴らしてみましょう。口を横に広げるほど高い音になり、金属音に近くなります。アップテンポの16ビートなどでは、口をすぼめた「ツ」の音を使って出すとビート感がしっかり現れます。
試してみましょう!
オープン・ハイハット
「ツァ」の「ツ」を発声したらそのまま残りの息を口から出すと、「ツー」という音になります。これが”オープン・ハイハット”の基本です。最初の「ツ」のほうを強く発声し、その後の余韻の音(ハイハット・シンバルを叩いたときに残る振動音)はそのまま最初の勢いで自然に抜ける息の音で表現しましょう。
ハイハット・シンバルの一例です。
[ ハイハット.wma ▼ ]
ハイハット・シンバルは関東流・関西流に限らず細かくビートを刻むのに適しています。
従って、速いテンポで刻むときにアクセントとして使う事もできます。では、次にいきましょう。
6. タム
タムというのはドラムセットの真ん中に2つまたは3つほど置いてあるドラムです。タムは、フレーズの変わり目などでリズムに変化をつける(フィルイン、おかずなどと言う)ときによく使われます。2つや3つあるのは、高・中・低とそれぞれ音程が違うためです。また、音程があるのでだいたいは有声音で音を出す事が多いようです。
関東流(有声音)の場合、腹式呼吸でお腹に空気をためます。そして、舌を上あごにつけ、喉スタンバイをします。このとき唇は少し開いてください。その状態から、「トゥン」と発声して、「ン」のところで口を閉じ息を鼻から流します。これが関東流(有声音)のタムの基本です。慣れてきたら音程を高・中・低と分け、「トゥン(高)・トゥン(中)・トゥン(低)」と連続で出します。これが「タムの連続」と呼ばれるものです。
まず、腹式呼吸でお腹に空気をためます。そして、口をぴっちり閉じ、口スタンバイをします。この状態で喉の奥らへんから「プゥン」と発声して下さい。最初の「プ」で口を一瞬開いてアクセントをつけて発声し、すぐ口を閉じて後の余韻を喉・口の中で響かせます。これが基本です。慣れてきたら喉の奥らへんから発声する音程を高・中・低と分け、「プゥン(高)・プゥン(中)・プゥン(低)」と連続で出します。これが「タムの連続」のアレンジバージョンです。
この方法はスネアやバスドラなどに移るときスムーズに音を繋げる事ができます。口を一瞬開きすぐ閉じるため、口スタンバイに持っていきやすく、かつ、連続で音を出しやすい為です。
次は、タムを連打したような音を説明します。まず、やり方は上記の状態とほぼ同じです。違うのは「プゥン」の「ゥン」のところです。今度は、喉の奥らへんから「プゥーッ」または「ブゥーッ」と発声しつつ、唇を細かく振るわせてください。ちょうど「プ(ブ)ルルルルッ」という感じになります。なるべく、同じ音階になるようにしましょう。この方法を、ここでは「タムの連打」と呼んでいます。
タムの音の例をこちらにおいておきます。最初のが、「タムの連続」のアレンジバージョンです。
リムショットのあと、次が
「タムの連打」を含めたボイパの例です。参考までにどうぞ!
[ タム.mp3 ▼ ]
7. シンバル
シンバルとは、バスドラムの左右に位置する打楽器です。フレーズの変わり目や、曲の終わりなどにアクセントとして使われることが多いようです。例でいうと「夜空のムコウ」の最後「シーシーシー」という音もそうです。
シンバルについては、関東流・関西流とも基本の音は同じです。では、やり方を説明しましょう。
「静かにしましょう」というときの「シー」という音を強い息で鳴らします。これがシンバルの基本になります。
この音の最初にほんの少し「ピ・プ・ブ」などの”P”の発音を加えると「ピシーッ」や「プシーッ」などの音に変化します。”P”の発音によってはいろいろな音色が出せます。また、「シー」の音の最初に今度は”K”の発音を加えると「クシーッ」や「キシーッ」などの高音のシンバルに変化します。
シンバルを強く叩くところなど、用途によって使い分けてください。
シンバルの例です。参考にして下さい。
[ シンバル.wma ▼ ]
シンバルの音の出し方は簡単です。そこで、ちょっとアドバイス!
「シー」という音の最初に、関西流のボイパ(ヴッまたはプッ)をしてみましょう。
うまくいくと、バスドラ・タムを叩いたと同時にシンバルを鳴らしたような音が出せます。
試してみましょう!
8. リムショット
リムショットとは、スネアドラムを叩く面の周りにある金属の部分を使ったときの音色です。
よく曲の始まる前・最初に「カッカッカッ」という音が入りますが、このときの音がリムショットです。
やり方は、喉スタンバイから息を吐かずに、喉の奥から「カッ」と発声しながら口の形を「あ」の形にします。
「カッ」と発声する声を一瞬強く出すように心がけましょう。より音がかっこよくなります。
リズムをとるときや曲のアクセントなどに使うと良いでしょう。また、口の形や息の抜きによって音の広がり方や感じが変わりますので自分でアレンジして使ってみましょう!
9. リズムパターン
一口にリズムパターンといっても肝心のリズムが悪ければ、曲のイメージを崩しかねません。
私は、リズムとは「規則的に正確に音を刻む」ことだと思います。
これを念頭において基本的なリズムパターンを紹介しましょう。
8ビート
8ビート・18ビートというのは主にロック・ポップスで使われるリズムです。
4拍子の1・3拍目にバスドラム、2・4拍目にスネアドラムを打ちます。
イメージ的には「ドッ・プッ・ドッ・プッ」という感じです。
8ビート・2
8ビート・1のバスドラムとスネアドラムの間にハイハットを入れてみましょう。
イメージ的には「ドッ・ツッ・プッ・ツッ」という感じです。これが、8ビートの基本になります。
[ 8ビート.mp3 ▼ ]
これらはあくまで基本の形です。例えばスネアドラムのかわりにリムショット(カッという音)を使ってもかまいません。曲によって使い分ける事ができれば良いと思います。ちなみに「夜空のムコウ」のボイパの基本はこれになります。
16ビート
16ビートは、8ビート・1のバスドラムとスネアドラムの間にさらにハイハットを入れます。
イメージ的には「ドツツツ・プツツツ・ドツツツ・プツツツ」という感じです。基本的にはどこでどの音を出しても良いです。つまり、8ビートに比べて多彩なリズムパターンを作ることができます。
16ビートの応用としてHip-Hopのようなリズムをつくることもできます。
[ Hip-Hop.mp3 ▼ ]
これらのビートは、あくまで基本です。これらをベースにして自由に音色をかえてみるといいでしょう。
また、8ビート・1でリズムを刻んだ後シンバルを入れて、8ビート・2でリズムを刻むという方法もできます。いろいろ試してみましょう。
10. フィルイン
小節の区切れ目にそれまでの周期的なリズムとは違うリズムや音色を挟むことによってリズム全体を引きしめ、個性や華やかさを持たせることを「フィルイン」といいます。フィルインをいかにうまくいれることができるかで曲のイメージが変わっていきます。
ここでは、8ビートの基本になるフィルインを紹介します。
これらを参考に新しいリズムパターンを創りだして、自分なりのオリジナリティをだしましょう。
[ 8ビート・フィルイン.mp3▼ ]
これで、関西流ボイパ講座(上級編)は終了です。
最終的にはこれらを参考にしてオリジナルのボイパを創り出して下さい。
型にとらわれずに色々な音色を試してみましょう。